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アフェレシスとは?

 アフェレシス(apheresis)はもともとギリシア語で「分離」を意味する言葉です。それでは何から何を分離するのでしょうか。現在では、体外循環によって血液中から血漿成分、細胞成分を分離する、さらには分離した血漿成分から病気の原因となる液性因子を分離することをさします(図1)。具体的には細胞成分はリンパ球、顆粒球をさし、液性因子は抗体、炎症性サイトカイン、代謝物質、中毒物質などをさします。従来はアフェレシスというよりもプラスマ(plasma)とアフェレシス(aphereis)の合成語であるプラスマフェレシス(plsamapheresis)(血漿分離)の方が一般的でした。血液から血漿を分離し、分離血漿を廃棄する、廃棄血漿と同量のヒト凍結新鮮血漿で置換する、これを古典的血漿交換療法といいますが、このようにプラスマフェレシスは血漿交換療法を行うための技術でした。しかし近年は分離血漿中からさらに高分子物質、中分子物質などを膜濾過や吸着などの技術を用いて分離除去する、血液中からリンパ球や顆粒球を吸着除去するなど、新しい分離技術を用いた治療法が開発されました。しかも血漿の交換を必要としない技術です。そこで分離を意味するアフェレシスという言葉が再登場となった訳です。また再生医療における幹細胞アフェレシス(移植)もこれからのアフェレシスの重要な分野になると思われます。このように生体内のさまざまな血液関連因子を分離除去して治療する広範な医療技術を総称する呼称がアフェレシスなのです。

図1 種々のアフェレシス療法(アフェレシスとは血液からの特定成分の分離を意味する)