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学会について

理事長からのご挨拶

理事長就任にあたって

日本アフェレシス学会理事長:津田 裕士

日本アフェレシス学会 新理事長 

独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター 副院長

松尾 秀徳

35回日本アフェレシス学会学術大会終了後より、任期満了に伴う津田裕士前理事長のご退任に伴い、日本アフェレシス学会理事長に就任しました。就任に当たり会員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。

日本アフェレシス学会は、体外循環で血液・体液を分離・処理することで難治性疾患の治療を行う医療関係者の集まりです。また、アフェレシスに関する技術や知識の普及・啓発も重要な活動内容としています。遠心分離による単純血漿交換に始まったアフェレシス療法は膜分離による血漿交換、さらに血漿中の分子の大きさと膜の孔サイズを利用した二重濾過血漿交換療法、標的物質をより選択的に吸着する吸着法などの新しい治療法に発展し、一方で、細胞成分を除去することで治療効果を発揮する白血球除去療法、顆粒球除去療法、リンパ球除去療法などが開発され、薬物療法のみでは治療が困難な難治性疾患の治療において多大な貢献を果たしてきました。このような目覚ましい進歩は種々の分野の医学者、医工学技術者が参加する本学会の学際的特徴に帰するところが大きいと考えられます。また、日本の技術は世界の最先端にあり、常に世界をリードしてきました。近年では、技術開発とともにEBMの確立にも力を入れており、炎症性腸疾患や関節リウマチ、そして皮膚疾患における白血球除去療法などの臨床研究が展開されてきました。この間、日本アフェレシス学会は会員も1,600名を超える学会へと成長してきました。これまでの技術開発の目覚しさ、また適応疾患の拡大がこの学会を大きく成長させてきたと考えます。さらに、学術大会を開催していただいた歴代の大会長の先生方の情熱と魅力あるプログラムもこれを後押ししてきたに違いありません。これまで学会を支え・育てていただいた諸先生方のご尽力に対し心より敬意を表するとともに、厚く御礼申し上げる次第です。

日本アフェレシス学会は、1981年に前身のプラズマフェレーシス治療研究会として始まり、1992年に日本アフェレシス学会となって、現在に至っています。2004年に中間法人となりましたが、中間法人法の改正により2008121日より一般社団法人日本アフェレシス学会となりました。これまでの理事長を務められた先生方を振り返ってみますと、井上 昇 先生、山本 章 先生、阿岸鉄三先生、澁谷統壽先生、そして前任の津田裕士先生と、各分野で活躍されてきた錚々たる先生方が理事長として学会の運営と発展に多大な貢献をされました。今回、私が理事長を拝命し、今後の日本アフェレシス学会の舵取りを任されたことについて、その重責を痛感し身の引き締まる思いです。微力ではありますが、全力を尽くす所存ですので宜しくご支援・ご協力の程、お願い申し上げます

 これからのアフェレシス学会を考えてみますと、創生期、成長期を経てきた本学会が直面するいくつかの課題が見えてきます。一つには新しい専門医制度の問題があります。これまでアフェレシス学会では専門医を認定するための制度を構築して運用してきましたが、「新たな専門医制度」の中では未承認領域に位置付けられています。今後、関連する類縁の学会とともに「血液浄化療法のための体外循環治療」をコアとする専門医を想定し、研修プログラムの作成・評価・運用を行っていく必要があります。日本医学会へ参入承認も重要な課題です。この二つは、アフェレシス学会のアイデンティティーを確立するためにも避けては通れない課題と言えます。学術的には、アフェレシスの原点に立ち返って新しい技術の開発とその臨床応用が重要です。これまでも、本学会では、いろいろな技術の開発と、それを臨床に応用し、新しい治療法の開発につなげてきました。まだまだ私たちの未知の分野でのアフェレシス療法が有用のある疾患は多くあると考えられ、これらの発掘も必要不可欠です。保険診療上の制約などから、以前に比べると新しい領域への適応拡大は容易ではありません。また、アフェレシスの対象となる疾患は、希少疾患が多くランダム化比較試験はしばしば困難です。しかし、そうであるからこそ、学会が情報交換の場となり、多施設共同研究の主体となっていく必要があります。先に述べたように、本学会は多くの診療科の医師、医学研究者、臨床工学士、医工学研究者そして企業の方々が、体外循環で体液を処理することで既存の治療では改善できない病態を改善させるべく集い・協力していく場であります。日本の中で成果を競う時代ではなくなりました。学会の場を通じて多施設共同研究を行い、世界を相手に情報発信していただくことを期待します。

 国際的な活動についても積極的に関わる必要があります。現在アフェレシスの領域には二つの国際組織があります。一つは世界アフェレシス連合(World Apheresis AssociationWAA)であり、もう一つは世界アフェレシス学会(International Society for Apheresis ISFA)です。これらの二つの組織をうまく活用して世界へ情報を発信していくことが重要です。さらに、アジア地域にもこのアフェレシス技術を広く活用して頂くような努力をすることも日本アフェレシス学会の使命ではないかと考えます。前理事長のご尽力によりアジア諸国より日本での学術大会へ参加が増えてきています。これをさらに拡大させることでアジアでのアフェレシスの活性化と日本アフェレシス学会の国際化を推進したいと思います。

上記の課題をクリアするためにも、学会の将来を担って頂く若手の人材を育成することが不可欠です。また、アフェレシス療法に関わるメディカル・スタッフ(臨床工学技士・看護師)の育成も重要です。さらに、医療関係者だけでなく一般社会の方々へもアフェレシス療法の認識を高めて頂き、それらが今後の研究の発展、アフェレシス療法の普及につながることが望ましいと思います。 

これらの多くの課題を解決し、学会をより効率的に運営していくために各委員会の担当理事の方々にお願いしました。各委員会には会員の先生方にも委員となってご協力頂く予定ですので宜しくご協力をお願い申し上げます。

最後に、アフェレシス療法が秘めた大きな可能性と魅力をアピールし、患者さんの治療に直結する学会にするため、微力ではありますが、全力を尽くしますので、会員、評議員そして理事の皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

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