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日本アフェレシス学会ホームページにようこそ;アフェレシスの歩み

理事長写真 日本アフェレシス学会理事長
渋谷 統寿

 「アフェレシス」とは聞きなれない言葉ですが、一般的には血漿交換(プラスマフェレシス)と呼ばれています。「アフェレシス」そのものは新しい概念ではなく、紀元前より病気の原因は悪い血にあるとして、瀉血(Bloodletting)をするとある病気の症状が改善することは良く知られていました。今日のアフェレシスは体外循環によって血中から病気の原因となる病因物質を除去し病態の改善を図る治療法で、血液透析や血液濾過などと同様に血漿を浄化する方法の一つです。血液透析や血液濾過と血漿交換の違いは血液中から除去される物質の大きさによって区別されます。すなわち、血液透析では分子量が数千までの小分子量物質が除去され、血液濾過では分子量2〜3万以下の中分子量が除去されますが、血漿交換では分子量の大きい蛋白質や蛋白と結合して血中に存在する有害物質(抗体、炎症性サイトカイン、免疫複合体や中毒物質などの液性因子)、すなわち、大分子量の病因物質が除かれます。
 英語ではプラスマフェレシスはPlasmapheresisと書きます。Plasmapheresis(PP)とはplasma(血漿)とapheresis(分離)からなるギリシャ語の合成語であり、血漿分離を意味します。しかし血漿分離だけでは治療とはなり得ず、病因物質を含む血漿を除去して、新しく健常な人の血漿で置き換えて始めて治療となるので血漿交換(Plasma Exchange)とも呼ばれます。このようにプラスマフェレシスは血漿分離を意味し、技術的には遠心分離法と膜分離法があります。臨床的には病因物質を除去し治療のために行う治療的PP(Therapeutic PP)と、健康なドナーからの血漿採取の目的で行うドーネイションPP(Donation PP)に区別されます。欧米では遠心分離による血漿交換が盛んですが、本邦では医用高分子化学技術が進歩しており膜分離によるプラスマフェレシスが普及しています。また、理論的に病因と推定される物質の特異的あるいは選択的除去のための吸着材(人工レセプター)の開発が進展しています。
 最近は神経系、免疫系などの自己免疫疾患や炎症性腸疾患に対して、血漿(液性因子)を除去するだけでなく、免疫担当細胞であるリンパ球(自己反応性T細胞)や顆粒球などの細胞成分を除去し、抗原特異的な免疫反応を抑制するためにリンパ球除去療法も行われています。 また、再生医療における幹細胞アフェレシス(移植)もこれからのアフェレシスの重要な分野です。このように生体内の様々な因子を分離除去して治療する広範な意味で、今日では「アフェレシス(治療)」という言葉が一般的に用いられるようになりました。
 アフェレシス治療の対象となる疾患は多く、劇症肝炎、C型肝炎、術後肝不全などの肝疾患、炎症性腸疾患、多臓器不全(敗血症、エンドトキシン)、慢性関節リウマチや抗リン脂質抗体症候群などの膠原病、重症筋無力症、炎症性脱髄性多発神経炎などの神経疾患、高コレステロール血症、下肢閉塞性動脈硬化症、β2ミクログロブリン、薬物中毒、過粘稠症候群やABO式血液型不適合などの血液疾患、尋常性天疱瘡などの皮膚疾患、急速進行性糸球体腎炎や溶血性尿毒症症候群などの腎疾患などが主なものです。このようにアフェレシスは様々な医療分野で用いられており、また様々な専門分野の医師、臨床工学技師、看護師、メーカーの開発スタッフなど多くの人々から支えられていることから、日本アフェレシス学会は1997年にそのロゴを「人」をモチーフにデザインし用いています。
 日本アフェレシス学会(JSFA:Japanese Society for Apheresis)は、1981年に日本プラスマフェレシス治療研究会(織田敏次会長)として設立され、1992年に日本アフェレシス学会(初代理事長は故井上昇博士)になりました。学会の機関紙として1981年から英文誌“Therapeutic Plasmapheresis”を年に一回出版していましたが、1994年からは“日本アフェレシス学会雑誌”を年に4回、そして1996年からは“Therapeutic Apheresis”を定期的に年4回発刊している外、アフェレシスマニュアルを数年に一回出版しています。1990年からはアフェレシス治療の実態調査が行われており、1998年と2000年にはその調査結果が学術委員長の清水勝博士(東京女子医大名誉教授)によってまとめられ機関紙に掲載されました。2001年3月からは認定医試験を施行してアフェレシス専門医およびアフェレシス専門技師を認定し、日本アフェレシス学会の教育病院認定も行っています(川村明夫認定委員会委員長)。
 国際的には1986年に東京で開催された第一回世界アフェレシス会議(WAA:World Apheresis Association)の主要な設立メンバーであり(大会長は故井上昇理事長)、また1996年には京都で開催された第一回国際アフェレシス学会(ISFA:International Society for Apheresis)のホスト役を果たしました(大会長は山本章前理事長、国立循環器病センター名誉所長)。JSFAとISFAの英文機関誌である“Therapeutic Apheresis”は2002年からは日本透析学会が参加し“Therapeutic Apheresis and Dialysis”として年6回発刊されるようになりました。その論文は2004年からMEDLINEに採用され、Citation Indexで世界的に評価されるまでになりました。これはISFAの編集委員長の秋澤忠男博士(和歌山県立医大血液浄化センター教授)とProf. Yukihiko Nose(Baylor University)の並々ならぬ努力の賜物であります。ISFAの初代、2代目の会長は山本章博士であり、事務局長は小玉正智博士(滋賀医科大学名誉教授)が2003年まで務められ、2004年から谷徹博士(滋賀医科大学第一外科教授)に引き継がれています。
 2004年1月現在の日本アフェレシス学会の会員数は約1400人です。いま日本アフェレシス学会は専門医資格の広告に向けての作業をほぼ完了しました。すなわち、「有限責任中間法人日本アフェレシス学会」として登記を済ませ(2004年1月8日)、学会会員並びに専門医名簿の作成を終え、学会ホームページを公開し、厚生労働大臣への申請手続きを終えました。これらの作業は事務局長の津田裕士博士(順天堂大学膠原病内科)の尽力によるものです。
 これからは日本医学会と日本専門医認定制機構への加盟へ向けての努力があります。また、日本アフェレシス学会が更に飛躍するためには、世界のアフェレシスのリーダーとしての責務を果たしていくことも必要です。すなわち、WAAとISFAにおける活動のあり方が問われていますし、アジア諸国のアフェレシスをどのように育成していくかなど多くの課題があります。これらの課題を解決し新しい歩みを始めるには会員諸氏の協力と知恵をお借りする必要があります。会員諸氏並びに関係各位によろしくお願い申し上げ、ホームページの公開の挨拶とします。

2004年3月吉日

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